電炉を使った中堅鉄鋼メーカーの東京鉄鋼と伊藤製鉄所

電炉を使った中堅鉄鋼メーカーの東京鉄鋼と伊藤製鉄所(東京都千代田区)は28日、経営統合に向けた協議を開始することで合意したと発表した。両社はともに建築向け鉄鋼製品が主力で協力関係にあるが、需要減と価格低下で経営環境が厳しく、統合で経営効率の向上を図る。

 両社は同日、統合に関する覚書を締結した。東京鉄鋼は栃木県と青森県、伊藤製鉄所は茨城県宮城県に工場を保有、統合で4工場を効率的に運営する。製造技術や人材も一体化し、生産性を高めたい考え。

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 両社は、鉄筋コンクリート建築物向けの鉄筋を工場で組み上げることで、現場での作業を最小限にする「プレキャスト工法」の強化なども検討し、需要減への対応を進める。統合比率や時期などは未定。

 東京鉄鋼の平成29年3月期の連結売上高は435億円と27年3月期に比べ約3割減少。伊藤製鉄所の29年3月期の単体売上高は216億円で減少傾向にある。東京を中心に建設向け鋼材の需要は旺盛だが、鉄骨が主流で、両社の主力の鉄筋棒鋼は苦戦している。

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 東京鉄鋼の筆頭株主は、旧村上ファンドの出身者が設立したシンガポール投資ファンド「エフィッシモ キャピタル マネージメント」で、6月時点で8・97%を保有している。記者会見で、東京鉄鋼の柴田隆夫取締役上席執行役員は今回の統合協議をめぐり、投資ファンドからの働き掛けは「何もなかった」と説明した。