トヨタ自動車は28日、設立から80周年を迎えた

トヨタ自動車は28日、設立から80周年を迎えた。織機メーカーの「社内ベンチャー」として発足し、モータリゼーションの進展とともに規模を拡大。世界有数の自動車メーカーに成長した。ただ、近年は電気自動車(EV)や自動運転車などの分野で新規参入が相次ぎ、「海図なき、前例のない戦い」(豊田章男社長)にさらされている。時代を先取りできるのか。改めて臨機応変の対応力が問われている。【小倉祥徳】

 「(グループ創始者の豊田)佐吉の織機や、喜一郎の自動車への挑戦のように、時流に先駆けたビジョンを掲げ、未来を切り開く覚悟が大切だ」。名古屋市内で7月下旬に開かれた講演会。トヨタを設立した喜一郎の長男で、トヨタ社長も務めた豊田章一郎名誉会長は、ベンチャー精神を取り戻すことが必要と訴えた。

 佐吉は国内初の動力織機を発明し、その長男の喜一郎は国産自動車の開発に挑んだ。トヨタは車社会の到来とともに成長し、現在は子会社のダイハツ工業なども含めたグループの販売台数が年間1000万台を超える。

 だが、エコカーとして存在感を高めるEVの販売では2003年創業の米テスラが先行。自動運転車には、米グーグルやアップルなどIT大手も取り組んでいる。トヨタが新規参入企業の挑戦を受ける形になっており、章男社長は「(トヨタが車事業に参入した)80年前と同じことが起きているのかもしれない」と危機感を募らせる。

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 トヨタの次の一手で特に注目を集めるのが、EVへの対応。トヨタガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車で先行してきた。しかし、欧米や中国当局などが環境規制強化の動きを強める中、走行時に二酸化炭素を排出しないEV化の流れが「予想より少し速い」(首脳)ペースで進んでいるためだ。

 トヨタは今月4日、マツダとの資本提携を発表し、EVの基本構造に関する技術を共同開発する方針を打ち出した。東京五輪のある20年までに技術の確立を目指すほか、今後はスバルやスズキにも共同開発を呼び掛ける方針。業界で「仲間作り」を進め、EVの本格普及に備える。

 自動運転分野では昨年1月、運転制御の核技術となる人工知能(AI)を研究・開発する新会社を米シリコンバレーに設立。今年5月に車外の状況を把握する画像処理用の半導体を手掛ける米エヌビディアと提携するなど、自動運転への対応を強化している。

 課題は新技術の開発だけではない。トヨタ役員は「大きすぎて物事が決まらない。小さい車や少量生産車の開発がうまくできない」と小回りのきかない業務運営を問題視する。トヨタ全体では年間2兆円規模の営業利益を誇るが、新興国などで普及が見込まれる低価格の小型車は「多額の開発費を回収できず、赤字」(幹部)という。

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 各部門で経営判断を迅速化し、採算性を高めるため、トヨタは昨年4月、小型車や中型車、商用車などの部門ごとに社内を切り分ける「カンパニー制」を導入。限られた資金で安定した収益を上げるダイハツ資本提携先のスバル、マツダなどからも開発ノウハウを吸収し、EV事業では「マツダ流」の効率化を目指す考えだ。

 EVや自動運転車は20年代に本格普及するとみられる。「成功体験に縛られ、新しいことがなかなかできない」(幹部)欠点を克服し、次の成長につなげることができるのか。残された時間はそう多くない。